
−お店に入るといつも居心地のいい雰囲気、時間が流れているなぁと感じています。
それは雰囲気を大切にしているからですね。
美味しいもん出して当然、お客さんに喜んでいただいて当然。
それと、「スタッフが出す雰囲気」「店が出す雰囲気」「お客さんが出す雰囲気」
この三つがまとまった時に、スマート本来の“いい雰囲気”になります。
−なるほど。いい雰囲気だからこそ、長く居たくなるわけですね。
それとお客さんも人、スタッフも人なんで、やっぱり人と人とのぬくもりを常に大事にしています。
このトライアングルを中心にいろんな人と繋がって、ひとつの丸になる。
ほんわりとした雰囲気で、明るい、球体のような雰囲気のお店になるようにしています。
−人と人との繋がりを大切にされてるんですね。それでは、スタッフの方々が大切にしていることはありますか?
絶対に忘れたらあかんことは、当然やけども、“挨拶”。
−“挨拶”ですか?
スタッフ教育で、サービスを求めてきてくれるお客さんに「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」を言うのは当然やけど、
プラスアルファ、何か一言「いつもありがとうございます」や「雨の中ありがとうございます」「またお越しください」と
人としてのなにか“プラスアルファ”をつけることを教えています。
店だけじゃなく、外であった時も「こんにちは」と挨拶するようにと。
−外ででも、挨拶ですか?
スタッフになった時点で、もうスマートファミリーの一員なので、
僕が発信することは、常にスタッフも同じ感覚でいてほしいとスタッフには言っています。
−確かに、外でも挨拶されると「覚えてくれている?!」と嬉しくなりますね。
たった一言の挨拶でお客さんは喜んで頂けるから、挨拶は当たり前やけどは絶対に大事やと思っています。
ちょっとしたことが良い関係作りへとつながっていくから挨拶を大事にしています。
−それはスタッフ同士も大事にしているんですか?
おはようございますの言い方で空気が変わるから
ミーティングや話し合いのときには「雰囲気の温度を下げない挨拶をしてくれ」と言っています。
−やっぱり、挨拶ひとつとっても大切なんですね。思いやりの信念が息づいてるんですね。
大きくまとめたら「目配り、気配り、配慮」この三つが絶対です。
お客さんに対してもそう。自分たちに対してもそう。
ちょっとした「目配り、気配り、配慮」これらにより店の雰囲気が作られます。
店のすべてのサービスの中心はそこにあります。
−次に、出されている料理についてもお伺いしたいのですが、料理を作る際に大切にしていることはありますか?
それは、クオリティーを下げないこと。
コーヒーやほかの商品は代々引き継いできたものだし、アレンジはしていません。
アレンジしたらそれを求めてきてくれたお客さんに、違うものを提供することになります。
磨きはかけるけれども、変えることはしていません。
それは、クオリティーを下げないこと。
−磨きをかけるというのは、具体的にどういったことをしてるのでしょうか?
材料の質を上げるのもそうですが、生ものを扱ってるだけあって、モノと会話ができなければならない。
会話ができるって言ったら変な感じやけど、その状態を見極めることです。
−見極める、ですか?
たとえばコーヒー豆で言うと、今年の収穫は淡いな、ちょっとこれ老けとるなとか、白いなとか。
すると、これはどういう風な焙煎をしたらいいんかっていうのをずっと考えながら、
豆と会話をしながら焙煎をして、いい状態に仕上げるんです。
−いい状態に仕上げるというと?
例えば、基本は投入から焼き上げるまで10分かかるとします。
けど、全部が10分でやってても、絶対にそのコーヒー本来の味を引き立たせる仕事はできないんです。
それは、「はじき方」「香り」「目で見る色目」この三つの感覚を集中して見極めることで、
豆をいい状態に仕上げることができます。
−これがコーヒーの淹れ方にもつながるんですか?
そうです。
コーヒー道とかコーヒーはこういうものなんや、とかいうものには必ず『鮮度』という言葉が出てくる。
『鮮度』っていうものにも、「新鮮すぎるものは、コーヒーの本来の味を出さない」というのがうちの流儀です。
うちでベストなのは、抽出してから5分〜10分置くこと。
これが一番安定します。これも会話のおかげでわかるようになりました。
−抽出したコーヒーをすぐ出すものだと思っていました…
抽出してすぐやって思っている人は、作り置きやって言う人もいます。
確かにそう、わざと置いてますからね。
−なるほど。わざと置くことでコーヒー本来の香りや味が出るということなんですね。
これがスマートでの手法なので、誤解はしてほしくないですね。